東大や京大などの一流国立大学を志望する学生にとっては御馴染みの「大学への数学」シリーズ(東京出版)
数学好きの理系受験生にとっては欠かすことのできないのがこの「大学への数学」シリーズなのですが、文系志望であってもこの参考書にハマってしまう受験生が後を絶ちません。
ですが、慶應経済に在籍しながら3年間塾講師を行った僕の経験則から言うと文系受験で「大学への数学」を極めることはオーバーワークであると思わずにはいられません。
今回は文系受験生が「大学への数学」を勉強することの是非について書いてみたいと思います。
目次
「大学への数学」に手を染める文系受験生たち
まず初めに、多くの上位文系受験生たちが「大学への数学」に手を染めてしまう理由についてお話したいと思います。
なぜ多くの受験生が「大学への数学」にハマってしまうのか?
それは、本質をとらえた数学の解説にあります。
解けばわかりますが、大学への数学に掲載されている数学の問題は良問揃いです。
そして本質をとらえた丁寧な解説がウリです。
つまり、「大学への数学」は単純におもしろいのです。
文系受験生の数学の勉強は基本的には基礎問題精講や4STEPなどの無味乾燥な数学問題を解き、解法パターンを暗記するのが主です。
実際、こんなのは面白くないです。
ですので、「大学の数学」に掲載されているちょっと捻られた数学の良問。
そして本質を突いた数学の解説は非常に刺激的に映ります。
従って、文系受験生であろうと「大学への数学」をメインに受験数学勉強を進めてしまうのです。
なぜ「大学への数学」で成績が伸びない受験生が多いのか
ですが、僕の経験則だと「大学への数学」を賞賛する文系受験生に限ってそんなに数学ができないことが多いです。
その理由を書いていきたいと思います。
基礎が疎かなのに「大学への数学」を解いても無駄である
僕が見てきた受験生で多いのは、基礎がそこまで出来上がっていないのに見栄なのか「大学への数学」を中心に勉強しだす人。
こういう人は成績が伸びません。
まずは教科書の数学を理解すること!数学の土台を構築することから数学の勉強は始まります。
順番を間違えて数学の基礎が出来上がっていないのに大数に手を出す人はいくら勉強しても数学の成績が伸び悩むのです。
「大学への数学」には受験数学に不必要な問題が多い
受験というものは効率的に行わなければなりません。
確かにたまには寄り道が必要なこともありますが、やはり一直線に、自分の志望校に出題される分野をピンポイントで学習していったほうが効率的でしょう。
それを考慮すると、「大学への数学」に掲載されている数学理論は文系数学受験において必要がないことが多いです。
従って、「大学への数学」を頑張ってマスターしても、結果的には受験で見ればオーバーワークになってしまうことが多いのです。
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私立文系志望の受験生には不要
今までの説明から導き出される結論はこれです。
早慶などの私立文系大学を志望する受験生にとっては「大学への数学」は不要である、と僕は考えます。
なぜなら私立文系大学の数学の問題は解法パターンを暗記していれば解ける問題が多く、「大学への数学」で鍛えられる思考力を必要とする問題があまり出題されないからです。
私大文系の最高峰でもある早稲田政経や慶應経済の数学ですら、解法暗記型の数学問題がほとんどでそこまでの数学思考レベルは要求されません。
こちらの記事でも書いていますが、旺文社の基礎問題精講に掲載されている例題を全て解けるようにして過去問をそこそこ解けば合格点には十分届きます。
日本一難しい文系数学を出題することで有名な早稲田商学部クラスですら、半分解ければ十分なので実際は他の私立と同様に抑える問題だけ抑えておけば数学の合格点には届いてしまいます。
さらに、私立文系を受験するときに肝となるのは「英語」です。
英語の方が配点が高く、今後の社会でも英語は必須となってくるため私立文系志望の受験生は英語を勉強するに越したことはありません。
そうなってくると、「大学への数学」を私立文系志望の受験生が勉強することがいかにオーバーワークかわかってくると思います。
ということで、私立文系志望の受験生にとっては「大学への数学」は不要と言えます。
国立志望の文系受験生は時間があればやれば良い
東大や京大などの一流国立大学を目指す文系受験生は「大学への数学」を勉強することは無駄にはならないと思います。
何故なら、これらの国立大学ではただの解法パターン暗記では解くことのできない「実験試行型」の数学問題が出題されるからです。
国立クラスになってくるとこうした問題を解けるか解けないかで合否が変わってきますので、実験試行型の問題を解くのに必要な「数学的思考力」を磨くために大学への数学で訓練することは意味があると思います。
ですが、国立受験生は多くの科目を勉強しなければならないので数学にそこまで時間が取れるかどうか危いところ。
「数学的思考力」を磨くのであれば志望校の過去問をひたすら解くことにも意味があると思うので、大学への数学の問題を解くところにまで時間をさけるかどうかは疑問が残るところです。
従って結論としては、国立志望の文系受験生はまずは志望校の過去問の数学を解くことが優先、時間に余裕があれば大学への数学を勉強すれば良い。ということになります。
まとめ
「数学的思考力」を必要とする問題を出題する上位国立大学志望の学生のみ、時間があれば「大学への数学」を解きましょう。
そして、問題を解くときにおいても自分の志望大学で重点的に出題される分野だけピンポイントで「大学への数学」で対策しましょう。
あとは過去問で対策しましょう。
数学の基礎が…って人は大学への数学になんか手を出さずに基礎問題精講を解きましょうね。
これが終わったら過去問なり解き始めれば良いです。
早稲田商学部志望の受験生だけは唯一、大学への数学を解いてもいいかもしれませんが、それでも商学部の数学は半分解ければ合格できると考えたらやはり大学への数学にまで手を出すのはオーバーワークと言えるでしょう。
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